生活習慣病

生活習慣病とは

生活習慣病とは

生活習慣病とは、日常の食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関わる病気です。
これらの習慣が原因で発症する病気の総称を指します。
日本人の死因の上位を占めるがん、心臓病、脳卒中も生活習慣病に含まれます。

こんな症状ありませんか?

  • 普段よりも疲れやすく感じる
  • 体重が急激に増加したり、逆に減少する
  • 血圧が高くなる
  • 頻繁に頭痛がする
  • 立ちくらみやふらつきがある
  • 胸の痛みや圧迫感がある
  • 心臓の鼓動が速くなったり、不規則になる
  • 息切れがひどくなる
  • 血糖値が高い状態が続く
  • 消化不良など

がん

がんとは

がんとは

がんは心疾患や脳血管疾患と並び、日本人の主要な死因の一つです。
発生する時期や部位は個人差があります。

男性では、大腸、前立腺、胃、肺、肝臓と肝内胆管の5つの部位でがんの発生率が高いです。
特に大腸がんは50代から増加します。

女性の場合、乳房、大腸、子宮、肺、胃の5部位でがんの発生率が高いです。
特に乳がんは20代後半からリスクが上がります。

がんによる死亡率は、男性が26.7%、女性が17.8%です。
発病率に比べると低いですが、治療には時間がかかるため、早期発見と早期治療が重要です。

がんを防ぐために

がんは生活習慣と深く関わっています。
喫煙、過度な飲酒、乱れた食生活、運動不足などが重なると、がんに罹る確率が高くなります。
日常生活で以下の点に気を付けると、がんのリスクを減らせます。

  • 禁煙
  • 節酒
  • バランスの良い食事
  • 適度な運動

しかし、がんは完全に防げる病気ではありません。
規則正しい生活をしていても、がんになるリスクをゼロにはできません。
生活習慣の改善は重要ですが、「自分は大丈夫」と過信せず、適宜、検査などの備えを確保しておくことも大切です。

心疾患

心疾患とは

心疾患

心疾患は心臓に起こる病気の総称です。
何らかの原因で心臓に異常が発生し、その結果、血液の流れが滞ることで発症します。

心疾患の恐ろしさ

「がん」に次いで死亡率の高い病気

全身に血液を送り出している心臓は、生命活動において最も重要な臓器です。
心臓が停止することは、即ち「死」を意味します。
このため、心疾患の恐ろしさは非常に深刻です。
心疾患による死亡率は「がん」に次いで死因第2位を占めています。

突然死の原因の大半は心臓のトラブル

心疾患のもう一つの恐ろしさは、「ある日、突然命を奪われる」ことがある点です。
初発症状から24時間以内に死亡することを「突然死」と呼び、働き盛りを襲う突然死の半数以上が心臓のトラブルによるものです。
最も多い原因は急性の心筋梗塞です。
心臓弁膜症や心筋症などもありますが、直接の原因は多くが心室細動という不整脈です。

心疾患の原因は?

心疾患の中でも、虚血性心疾患には以下の4大危険因子が知られています。

  • 高血圧
  • 脂質異常
  • 喫煙
  • 高血糖

また、内臓脂肪型肥満に高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上を併せ持つ「メタボリックシンドローム」も動脈硬化を悪化させ、虚血性心疾患の発症リスクを高めます。

心疾患を防ぐために

狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は生活習慣病の一つです。
主要な原因のほとんどが生活習慣にあります。
以下の点に注意して、生活習慣を改善すれば予防できます。

  • 減塩
  • 栄養バランスのとれた食事
  • 禁煙
  • 節酒
  • 適度な運動

まずは健診の結果から、虚血性心疾患の危険因子を持っているかを確認し、危険因子があれば直ちに生活習慣を見直しましょう。
また、高血圧や糖尿病、脂質異常症、不整脈を指摘されている人は、これらの病気の危険因子を減らし、正しく治療することも大切です。

脳血管疾患

脳血管疾患とは

脳血管疾患とは、脳動脈に異常が起こることで発症する病気の総称です。
脳血管疾患にはさまざまな種類がありますが、最もよく知られているのが脳卒中です。脳卒中は、脳の血管が狭くなったり詰まったりすることで起こる虚血性脳卒中と、脳の血管が破れて出血することで起こる出血性脳卒中に分けられます。

虚血性脳卒中
  • 脳梗塞
  • 脳の血管が狭くなったり詰まったりすることで発症します。


  • 一過性脳虚血発作(TIA)
  • 脳の血流が一時的に低下することで発症します。

出血性脳卒中
  • 脳(内)出血
  • 脳の血管が破れて出血することで発症します。


  • クモ膜下出血
  • 脳を覆うクモ膜の下で出血することで発症します。

脳血管疾患の恐ろしさ

突然死を招く恐ろしい病気

脳血管疾患は突然死を招く恐ろしい病気です。かつては日本人の死因第1位を占めていました。
近年、医療の進歩によって死亡率は減少しましたが、それでも依然として高く、「がん」「心疾患」「肺炎」とともに上位を占めています。

深刻な後遺症を残す可能性も

脳血管疾患の恐ろしさは、死亡率の高さだけではありません。
一命をとりとめても、後遺症を残すことが多い点です。脳血管疾患の後遺症には、手足の麻痺、言語障害、視覚障害、感覚障害などさまざまなものがあります。
どのような後遺症が現れるかは、損傷を受けた場所と損傷の程度によります。後遺症の程度によっては寝たきりになったり、介護が必要になったりすることもあります。

脳血管疾患の原因は?

脳血管疾患にはいくつもの危険因子があります。特に高血圧、動脈硬化、喫煙は最大の危険因子です。
その他にも、以下の生活習慣が脳血管疾患の引き金になります

  • 運動不足
  • 多量の飲酒
  • ストレス
  • 睡眠不足

また、内臓脂肪の蓄積(内臓脂肪型肥満)に高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上を合わせ持つ「メタボリックシンドローム」の状態では、それぞれが軽症であっても、複数の要因が重なることで動脈硬化を悪化させ、脳血管疾患の発症リスクが高まります。
さらに、心臓の血管にできた血栓が原因で起こる脳塞栓は、「心房細動」という不整脈が最大の原因です。

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が長期間続く病気です。
これは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの量が不足したり、インスリンの働きが悪くなることで起こります。
私たちの体は、食べ物や飲み物が消化・分解されてできるブドウ糖をエネルギー源にしています。
インスリンは、食後に血糖値が上がり過ぎないようにブドウ糖の量を調節し、ブドウ糖を細胞に送り込んで活動エネルギーに変えるなどの重要な働きをしています。
しかし、インスリンが不足したり、働きが悪くなると、体の細胞にうまくブドウ糖を取り入れることができなくなり、エネルギーが筋肉や内臓に届かなくなります。

糖尿病の種類

1型糖尿病

1型糖尿病では、膵臓からインスリンがほとんど出なくなる(インスリン分泌低下)ため、血糖値が高くなります。
生きていくためには、注射でインスリンを補う治療が必須です。この状態をインスリン依存状態といいます。

2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンが出にくくなったり(インスリン分泌低下)、インスリンが効きにくくなったり(インスリン抵抗性)することで血糖値が高くなります。原因は遺伝的な影響に加え、食べ過ぎ、運動不足、肥満などの環境的な影響があります。
すべての2型糖尿病患者に生活習慣の問題があるわけではありませんが、血糖値を望ましい範囲にコントロールするためには、食事や運動習慣の見直しが重要です。必要に応じて飲み薬や注射なども利用します。

その他の特定の機序や疾患によるもの

糖尿病以外の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し、糖尿病を発症することがあります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めてわかった、まだ糖尿病には至っていない血糖の上昇をいいます。
糖は赤ちゃんの栄養となるため、多すぎても少なすぎても成長に影響を及ぼします。そのため、妊娠中は細やかな血糖管理が必要です。
妊娠中は絶えず赤ちゃんに栄養を与えているため、お腹が空いているときの血糖値は妊娠していないときと比べて低くなります。
一方で、胎盤から出るホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、食後の血糖値は上がりやすくなります。
多くの場合、高い血糖値は出産後に戻りますが、妊娠糖尿病を経験した方は将来糖尿病になりやすいといわれています。

糖尿病の原因は?

1型糖尿病の原因

インスリンは膵臓で作られるホルモンです。
1型糖尿病は、膵臓が何らかの原因でインスリンを作ることができなくなることで発症します。
原因ははっきりしていませんが、もともと遺伝的にインスリンを作れず、1型糖尿病になりやすい体質を持っている場合や、何らかの原因でインスリンを作る膵臓の細胞が破壊されることで発症するとされています。

2型糖尿病の原因

2型糖尿病は、食生活などの環境因子と体質(遺伝)が組み合わさって発症します。
2型糖尿病を発症しやすい方の特徴としては、以下が挙げられます。


  • 太っている
  • 家族に糖尿病の方がいる
  • 40歳以上

年齢や遺伝的な要因で糖尿病を発症しやすい方が、運動不足や偏った食生活などの習慣を続けることで、発症しやすくなると考えられます。

糖尿病の症状

糖尿病は、症状がなく気がつかないまま進行していることが多い病気です。かなり血糖値が高くならなければ、症状は現れません。

高血糖による症状
  • 喉が渇く、水をよく飲む
  • 尿の回数が増える
  • 体重が減る
  • 疲れやすくなる

糖尿病の症状がまったくないまま健診で判明する方もいれば、急に高血糖の症状が現れて糖尿病と診断される方もいます。
また、眼や腎臓の合併症の症状が現れて初めて糖尿病と診断される方もいます。

高血圧性疾患

高血圧性疾患とは

高血圧性疾患は、血圧が高すぎる状態が続く病気です。
血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の血管壁の内側を押す力を指します。高血圧症を放置すると、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病といった重大な病気を招きます。
しかし、高血圧自体には自覚症状が少ないため、病気であると認識することが難しいです。

高血圧性疾患の原因は?

高血圧症の原因には、遺伝的なものと生活習慣などの環境的なものがあります。
また、血圧の高い状態が続くと動脈硬化が進み、血管が厚く硬くなるため、内径が狭くなって血液が流れにくくなります。これにより血圧がさらに上がるという悪循環が生じます。

遺伝的な要因

高血圧症には遺伝的な側面があります。例えば、両親ともに高血圧症である子どもの約50%が高血圧症になると報告されています。
遺伝といっても高血圧そのものの遺伝子があるわけではなく、体質が遺伝すると考えられています。
また、親子で似た生活習慣を送っている場合も影響します。


環境的な要因

  • 過剰な塩分摂取
  • 体は体内の塩分濃度を一定に保とうとするため、塩分を取り過ぎると体内に水分が増え、血液量が増加し血圧が上がります。



  • カリウムの摂取不足
  • カリウムが不足するとナトリウムが充分に排出されず、血液中の塩分濃度が増し、血液量が増えて血圧が上がります。



  • 肥満
  • 脂肪細胞から血圧を上げたり動脈硬化を促進させたりする物質が分泌されます。また、インスリンの働きが悪くなり、交感神経を刺激して血管を収縮させます。特に内臓脂肪型肥満は注意が必要です。



  • 過剰飲酒
  • 習慣的な大量飲酒は血圧を上昇させ、中性脂肪を増やし動脈硬化も促進させます。飲酒は適量を心がけることが重要です。



  • 精神的ストレス
  • ストレスがかかると交感神経の働きが活発になり、心臓の収縮を強め、心拍数が増え、血液量が増えます。
    また、血管も収縮させます。



  • 運動不足
  • 運動不足は血行を悪くし、血圧を上げます。座ったまま過ごす時間が長い人は高血圧症になる危険性があります。



  • 喫煙
  • タバコの成分であるニコチンが交感神経を刺激し、血圧を上げるホルモンを分泌させ、血管を収縮させます。
    また、活性酸素が増え動脈硬化を促進します。


合併して起きやすい疾患

脳血管障害
  • くも膜下出血
  • 脳梗塞

心臓病
  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 高血圧は動脈硬化を進めるだけでなく、心臓そのものにも負荷をかけて心肥大を引き起こします。進行すると心臓の機能が低下して心不全に陥ります。


腎臓

腎臓の細い血管が動脈硬化を起こすと、腎臓が硬く縮んで腎硬化症を引き起こします。
これにより腎臓の濾過機能が衰え、尿タンパクや血尿、むくみ、だるさといった症状が現れます。さらに悪化すると、腎不全に陥り人工透析が必要になることもあります。

網膜

網膜の血管に動脈硬化が起こると、網膜に小さな出血や斑点が現れる高血圧性網膜症が起きます。眼底の血管から出血した場合には失明することもあります。

大動脈
  • 大動脈瘤
  • 大動脈瘤破裂
  • 大動脈解離
  • これらの病気は大量出血で死に至ることもあります。


  • 下肢閉塞性動脈硬化症
  • 足の動脈に動脈硬化が起こると血流が低下し、痛みやしびれ、歩行困難といった症状が現れることがあります


肝硬変

肝硬変の原因は?

肝硬変の原因は複数あります。主な原因として以下の5つを紹介します。

B型肝炎ウイルス(HBV)感染

B型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓に感染して炎症(肝炎)を引き起こします。
このウイルスに感染すると急性肝炎または慢性肝炎を発症し、慢性肝炎により肝細胞が破壊され続けると繊維化が進行し、肝硬変に移行します。感染経路は血液や体液を介し、出生時の母子感染、傷口への体液の付着、刺青、性行為などがあります。

C型肝炎ウイルス(HCV)感染

C型肝炎ウイルス(HCV)はC型肝炎の原因となるウイルスです。
感染すると約7割の人が持続感染者となり、C型肝炎から慢性肝炎や肝硬変に進行する可能性があります。
初期の症状はほぼ自覚がなく、だるさや疲労感、食欲不振などに留まるため、肝硬変に進行してから感染に気付くこともあります。主な感染経路は刺青や性行為、不衛生な器具を使ったピアスの穴開けなどです。

長期にわたる過剰な飲酒

5年以上にわたる過剰な飲酒は、アルコール性肝障害を発症するリスクを高めます。
当初は自覚症状がありませんが、お腹の張り、疲れやすさ、食欲不振などの軽い症状を経て、重症化すると肝臓の腫れや腎不全などの合併症を引き起こし、肝硬変に進展することがあります。

遺伝

遺伝的要因によって発症すると推測される自己免疫性肝炎にかかると、肝硬変に移行する可能性があります。
初期症状は倦怠感や黄疸、食欲不振などで、悪化すると肝硬変になります。

生活習慣の乱れ

食生活の乱れや運動不足、ストレスなどが慢性化すると、アルコールの過剰摂取に起因しない非アルコール性脂肪肝炎になる可能性があります。自覚がないことが多く、気付いた時には肝硬変に進展していることもあります。
一般的に、適量の飲酒(男性で1日30g以下、女性で1日20g以下)にもかかわらず脂肪肝になった場合は、非アルコール性脂肪肝に分類されます。

肝硬変の症状

肝臓の機能が保たれている「代償性」と呼ばれる時期は基本的に無症状ですが、以下のような症状が現れることがあります。


  • 食欲不振
  • 全身がだるい
  • 肝硬変が進行し「非代償性」と呼ばれる状態になると、以下のような症状がみられます。


黄疸

ビリルビン(通常は肝臓で代謝される黄色い色素)が体内で増加することで、皮膚や白目が黄色くなります。

肝性脳症

血液中に有毒なアンモニアが増え、意識障害を中心とした様々な症状が現れます。重症の場合には昏睡状態に陥ります。

腹水・浮腫

血液中のタンパク質(アルブミン)が減少することで、お腹や手足に水が溜まります。

食道胃静脈瘤

肝臓が硬くなることで血液が本来とは違う血管に流入し、食道の静脈などにこぶの様なものができます。
以前は静脈瘤の破裂による死亡が多かったですが、現在は内視鏡を用いた検査や止血技術の向上により、死亡率が減少しています。

慢性腎不全

慢性腎不全とは

腎不全は腎臓の機能が低下し、正常に働かなくなる病気です。
慢性腎不全は数カ月から数十年かけて腎機能が徐々に低下し、腎臓のろ過能力が正常時の30%以下となり、体内の正常な環境を維持できない状態を指します。

慢性腎不全の原因は?

慢性腎不全はさまざまな疾患が原因で発症しますが、その多くを占めるのが以下の3つの疾患です。

糖尿病性腎症

糖尿病性腎症は、糖尿病の合併症として発症します。
糖尿病によって血液内の糖分が増えることで、腎臓の中の毛細血管がダメージを受け、腎臓の機能が低下してしまった状態です。

慢性糸球体腎炎

慢性糸球体腎炎は、糸球体の炎症により蛋白尿や血尿が1年以上続く状態を指します。糸球体は腎臓の中で血液をろ過する役割を担っています。

腎硬化症

腎硬化症は、主に高血圧により腎臓の血管が動脈硬化を起こしている状態です。血管が硬く・狭くなることで、腎臓の糸球体への血流が減少し、尿が作られにくくなります。

慢性腎不全の症状

慢性腎不全の主な症状には以下のものがあります。


  • 尿の異常(回数、量、色など)
  • 動悸、息切れ
  • 貧血
  • むくみ
  • 高血圧
  • 吐き気
  • 発熱
  • 頭や背中、腰、腹部の痛み
  • 食欲不振
  • かゆみなど

自覚症状がある場合、かなり症状が進行しているケースが多いため、すぐに受診することをお勧めします。
日頃から自分の尿の状態を確認したい人には、市販の試験紙が役立ちます。尿タンパクや尿糖、血尿などを家庭でもチェックすることができます。

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